脚本・監督:ビルグーン・チュルーンドルジ
製作:ツァルス・フーフディン・ズス ラン、ハク・メディア、トレンド・アーティスト
撮影監督:スフバータル・チュルーンバータル
出演:チンギス、プルブジャルガル・エルデネビレグ、バザラグチャ・ビンバジャブ、バトバートル・バトフレグ
日本語字幕:松本清貴
宣伝:加賀谷健(KKミュージック)、河合のび
宣伝デザイン:脇原由利香
配給:Cinemago × マグネタイズ
作品データ:2024/モンゴル/モンゴル語/83分/映倫審査中
原題『Z ZONE』
(C)Future Film Mongolia Production/Cinemago/Magnetize
NEWS
2024年12月28日
映画公式サイト開設
INTRODUCTION
これは《黙示録》の序章に過ぎない……
日本初上陸のモンゴル・ゾンビ映画シリーズ第1弾!
摂氏マイナス40度の厳寒の雪原を舞台に、《社会のクズ》扱いを受けてきた若者たちが軍の矯正施設で生ける屍人「ゾンビ」と遭遇し、生き残りをかけた逃亡へと駆り立てられる様を描いた日本初上陸のモンゴル・ゾンビ映画。
日常的に野生動物に接するモンゴル人の死生観も反映された本作の監督・脚本を手がけたのは、モンゴルのエンタメ映画界で活躍するビルグーン・チュルーンドルジ。監督自身の少年矯正施設での勤務経験がキャラクター造形にも影響を与え、「社会的課題や更生の可能性への問いかけ」は本作の大きなテーマの一つだ。
また脚本では「2回の挫折と2回の成功」という構成のもと登場人物の内面的成長を丁寧に描写し、モンゴル国内では高い評価を得られた。なお2025年には、本作の続編となるシリーズ第2作目の撮影が開始予定であり、拡大し続ける世界観の《始まり》を描いた『獄舎Z』への注目はさらに高まり続けている。
STORY
都市ウランバートルから遠く離れた雪原を走るバス。
バスに乗るのは社会の規律に反抗し、様々な問題を抱えた若者たち。彼ら彼女らは軍人たちに拘束・連行され、謎に満ちた「Z区域」の中にある矯正収容所へと辿り着く。
若者たちは軍人たちからの暴力を予感していたが、そこで遭遇したのは予想だにしなかった秘密と陰謀、そして生ける屍人「ゾンビ」だった……。
REVIEW
Coming soon
Coming soon
DIRECTOR
【PROFILE】
2013年にアメリカ・ハワイへ渡り、CBS制作ドラマ『HAWAII FIVE-O』第3シーズンに撮影スタッフとして参加。2014年には職業訓練プログラムの一環として、米国シカゴのキャデラックパレスとブロードウェイ劇場で演出を学ぶ。2016年以降、複数のドキュメンタリー映画、日本・韓国合作作品の制作に参加し、2020年に『Berkh Shagai(原題)』にて長編劇映画監督デビュー。2024年に『獄舎Z』を発表し、現在は同作のシリーズ続編企画を制作中。
【INTERVIEW】
──モンゴル映画と聞いてすぐにイメージするものといえば、中央アジアの草原風景など自然豊かなロケーションです。ビルグーン監督は環境に配慮する映画制作を意識しているそうですが、その哲学は『獄舎Z』の制作にどのように取り入れられているのでしょうか。
ビルグーン:モンゴル人は古くから自然と故郷を愛しながら崇拝してきました。『獄舎Z』では、「母なる自然」「地球との適切な関係」「軍隊の教訓」といったテーマを取り上げています。
本作を制作する上で具体的には、自然や木々を破壊しないことなど、自然と人間の領分を尊重した関係を理解するという前提があります。民族的な精神をモットーに、環境への影響を最小限に抑えた映画制作を行いました。
──自然環境への影響を考慮した撮影過程で、最も困難だったことは何でしょうか。また、その課題をどのように克服しましたか。
ビルグーン:冬の撮影は、摂氏マイナス40度の中で行われました。私たち制作陣にとって非常に厳しい環境でした。そんな過酷な環境下で、モンゴル映画にとって全く新しいテーマとして新規軸ジャンルのホラー映画を制作したのです。
撮影前の準備段階では、極寒の森の中でのロケーション撮影に備え、徹底したリサーチと計算を重ねました。厳しい条件下での屋外撮影でも約3ヶ月にわたり一丸となって映画制作に努めることができたのは、俳優、そして撮影スタッフたちが最初から心構えができていたからでもあります。これは私たちモンゴルの映画人にとって最大の強みだと思います。
実際の撮影現場では、より多くの忍耐力、緻密な作業、高度なプロフェッショナリズムが要求されました。例えば、映画にとって重要な撮影機材であるカメラや照明が凍結して動かなくなったり、俳優が寒さで身も凍る思いを強いられました。通常の撮影なら可能であるはずのリテイクを2、3回行う余裕すらありません。これらのリスクを十分計算して準備を整えたことで、私たちのクルーは、課題を乗り越え、クランク・アップすることができました。
──雪原という厳しい状況下で俳優をどのように演出しましたか。
ビルグーン:俳優たちは、柔軟な動き、高度なジャンプ、格闘技など、観客の目を純粋に楽しませるスキルを備えた、軽技の専門家でした。
その上で、サンフォード・マイズナーが考案した演技メソッドを駆使しました。俳優自身の内側ではなく、相手との関係性において運動を生じさせるといった彼の方法論が相乗効果になって、俳優たちの演技がダイナミックになったと思っています。
──登場人物たちもロケーションの影響を受けていますか。
ビルグーン:モンゴルの寒冷的な気候が、登場人物たちを厳しい状況下に追い込んでいきます。極寒の森の中で一人逃げる。危険に満ちた極限の行動です。にもかかわらず、彼らは行動する。それによって本作の物語自体が、困難な状況へと展開していくのです。
各キャラクターが心理的崩壊をいかにして自分の強みに変え、予測不能な状況の中でも団結して共に戦うことができるか。脚本では、挫折と成功を繰り返させながら、課題に直面した時に初めて強く闘い抜くという人間の普遍的な本質をキャラクターに盛り込みました。
──ビルグーン監督は、少年院音楽隊での勤務経験があるそうですが、本作のメイン舞台である監獄に収監されている“問題を抱えた若者たち”は、監督の経験に基づいて造形されたのでしょうか。
ビルグーン:少年更生施設での勤務経験が、本作のキャラクター造形に影響を与えたことは確かです。例えば、敵役のキャラクターであるタイルダスは、実在の人物をモデルにしています。
重要なのは、物語設定です。旧社会主義社会のステレオタイプを意図的に登場させています。時代遅れな形で映画に導入することで、現代社会に対する問いかけを試みました。
そうした体制下で、18歳から20歳の若者たちが経験不足による過ちを行ったからとはいえ、すぐに重大な犯罪者と見なし、刑務所に送られるべきなのでしょうか。それとも彼らに第2のチャンスを与え、軽い実刑で社会復帰を促し、若い世代を支援する意味で人権を尊重して更生させるべきなのか。これが本作を制作した重要かつ大切なテーマなのです。
──そうしたメッセージ性をゾンビ映画として集約させたところに、ホラー映画としての意図があるわけですね。
ビルグーン:ゾンビというキャラクターは、世界的トレンドとなるホラー映画ブランドのひとつです。凶暴なゾンビが発生するという非常事態、厳しい自然環境にあるモンゴルという地域で、極寒の時期を生き抜くモンゴル人の心構えや行動にどのような影響を与えるのか。また、草原という自然環境で暮らすモンゴル人がゾンビからどのように生き延びるのか。このモンゴルならではの設定とゾンビをかけ合わせた設定に興味があり、ジャンル映画の題材を選びました。
日常的に野生動物や家畜と接するモンゴル人はゾンビに対する恐怖心が比較的少ないのではないかと仮説を立てました。モンゴルでは人口が少ないため、ほとんどの人たちがお互いに顔見知りであることも多い。ゾンビを即座に退治するのではなく、治療を試みる可能性すらあるかもしれない。民族らしい特徴があるゾンビ映画かもしれません。
モンゴル初のゾンビ映画『獄舎Z』が描く“雪原のゾンビ”というテーマによって、観客の皆さんに問いかけたいと思っています。
脚本・監督:ビルグーン・チュルーンドルジ
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