





ジェラルメ国際
ファンタスティック映画祭
審査員賞

監督・脚本・プロデューサー:ガブリエル・アブランドス
プロデューサー・編集:マルガリーダ・ルーカス
撮影監督:ヴァスコ・ヴィアナ
美術監督:パウラ・サボ
特殊メイク:リタ・アンジョス、デイブ・ボニーウェル
録音:オリヴィエ・ブラン 音楽:ガブリエル・アブランドス
サウンドデザイン:イヴァン・ネスコフ
出演:ジャック・ヘヴン、カルロト・コッタ、アナベラ・モレイラ、アルバ・バプティスタ、リタ・ブランコ
提供:プルーク
配給:Cinemago
2024/ポルトガル/カラー/DCP/ポルトガル語・英語/91分/PG12
原題:『A Semente do Mal』
(C)2023 - ARTIFICIAL HUMORS.

NEWS
2025年9月13日
2025年7月31日

INTRODUCTION
“家族”とは、もっともおぞましい呪いだった──
触れるな。近づくな。
これは正気を削る、鬼畜ONIBABAホラー。
実の親を探すエドとその恋人ライリーは、ニューヨークからポルトガル北部の山奥へと旅立つ。壮麗な山間の屋敷にたどり着いたエドは、生き別れた母アメリアと双子の弟マヌエルと再会を果たすが、血の繋がりを超えた“おぞましい真実”とその土地の“忌まわしき過去”に直面することになる……。
ゴヤの名画に着想を得た、“血”の繋がりを超えた恐怖のマザコンホラー『アメリアの息子たち(原題:Amelia's Children)』は、第71回カンヌ国際映画祭で国際批評家週間グランプリを受賞した奇想天外なファンタジー『ディアマンティーノ 未知との遭遇』が日本公開された、彫刻家・造形作家などマルチな才能を持つガブリエル・アブランドスの長編最新作。
恐怖の血脈に絡め取られていくエドを救おうとするライリー役をA24の話題作『テレビの中に入りたい』などで注目されるジャック・ヘヴン(本作には改名前のブリジット・ランディ=ペインで出演)が務め、カルロト・コッタが実の家族と再会するエドと双子の弟マヌエルの一人二役を演じた。
宗教・政治・ジェンダーといったテーマを横断し、監督初のホラー映画への挑戦となった本作は、2013年にアンディ・ムスキエティ、2015年にデヴィッド・ロバート・ミッチェル、2021年にブランドン・クローネンバーグなど数多くのホラー映画作家を輩出してきたフランス・ジェラルメ国際ファンタスティック映画祭で見事審査員賞を受賞した。
STORY
ニューヨークに暮らす青年エドは、誕生日に贈られたDNAキットをきっかけに、かつて失われたはずの「家族」、そして“もうひとりの自分”──双子の弟マヌエルの存在を知る。
真相を求めて恋人ライリーと共に辿り着いたのは、ポルトガルの森の奥深くに佇む古びた大邸宅。そこには封印されたままの幼少期の記憶、誘拐の痕跡、そして血にまつわる不吉な因習が静かに息づいていた。
屋敷でふたりを迎えたのは、妖しき支配者として君臨する母アメリアと、母のことを心から愛し服従する息子マヌエル。
常軌を逸した“家族の儀式”。血は絆であると同時に、“呪い”でもある──逃れられぬ運命の鎖が今、音を立てて軋みはじめる。
闇と狂気が絡み合う91分。あなたの“血脈”が扉を開く時、そこに帰るべき家など、もう存在しない。

REVIEW
夜馬裕(怪談師・作家)
異国の地、深い森、古い洋館、奇妙な家族。
始めから終わりまで、絡みつくような、息詰まるような不穏さが漂い続ける。
血のつながりこそ、何よりも強い呪い。
ようこそ、嫌悪と倒錯のおぞましき世界へ!
牛抱せん夏(怪談師・女優)
誘拐事件が発端だと思ったらとんでもない。
冒頭部分に重要な演出があるのでしっかりと目に焼き付けて鑑賞してほしい。
自身の「美」のためなら恐ろしい手段を厭わないアメリア。日本のむかし話『山姥』を彷彿とさせる作品。
しかし、アメリアの「いつまでも若く美しくありたい」という気持ちが痛いほどわかる……
あれっ? もしかしてすでに彼女に取り込まれている!?
深津さくら(怪談師・作家)
その人は世界で一番美しく、世界で一番幸せだった。
その人が暮らす世界で一番豪奢な館は、ただ静かに眺め ていた。
この世にある美しいものを、その人が貪り尽くしてきたことを。
その人よりも幸せなものを、その人が狩り尽くしてきたことを。
マイケルティー・ヤマグチ(お化け屋敷プロデューサー)
僕のお化け屋敷でも不老不死・永遠の美を取り扱うことが多く「ナルシストモンスター・アメリア」に共感しそうになりかけたが、「この世の何処かで起こりゆる…この怪物は絶対実在する…」と思わせられるほど他人の家庭を覗いてしまったトラウマ。最も逃れられない”血統の呪い"。
糸魚川悟(映画ライター)
「ポルトガルの魔女」と言えば、都市ポルトとリスボンは、幼い魔女が成長する姿を描いた名作アニメ映画の聖地巡礼スポット。美しい街並みと魔女は、最高の組み合わせ。
ですが、本作で描かれるポルトガルの魔女は最悪です。
物語の舞台となる森の奥の館は、上映時間中は常に不穏そのもの。
おぞましい野望を持つ本当に実在しそうな魔女との遭遇で、自分の中の「ポルトガルの魔女」観に新たな顔が加わってしまった最恐ムービーでした。

DIRECTOR
【PROFILE】
1984年、アメリカ合衆国ノースカロライナ州生まれ。
ベルリン国際映画祭、ロカルノ国際映画祭、ヴェネツィア・ビエンナーレ、トロント国際映画祭などで上映され、2010年代のポルトガルを代表する監督としてキャリアを重ねる。受賞歴として、ベルリン国際映画祭のEFA賞、ロカルノ国際映画祭の金仾賞、EDP若手アーティスト賞などがあり、初の長編映画『ディアマンティーノ 未知との遭遇』(2018)はカンヌ国際映画祭にて批評家週間グランプリを受賞した。
脚本家・映画監督としての顔を持つ一方、彫刻家・造形作家としても知られ、手がけた作品はロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーおよびテート・ブリテン、パリのパレ・ド・トーキョー、ボストンのMITリスト・ビジュアル・アーツ・センター、ベルリンのクンストヴェルケ、ポルトのセラルヴェス美術館などで展示された。
さらに、第32回サンパウロ・ビエンナーレ、ビエンナーレ・トロピカル2016、ビエンナーレ・イマージュ・ムーブメント2014に参加。ニューヨークのリンカーン・センターおよびブエノスアイレス国際映画祭(BAFICI)では回顧上映が行われた。現在はリスボンを拠点に活動。

脚本・監督・プロデューサー:
ガブリエル・アブランドス
【INTERVIEW】
──『アメリアの息子たち』は名作カルト・ホラーの伝統を汲みつつも、独自の要素を取り入れているように見えます。
ガブリエル:本作は超自然的なホラー映画です。私は映画をこよなく愛し、アニメーション、SF、コメディ、実験映画など幅広いジャンルの作品を手がけてきました。『ディアマンティーノ 未知との遭遇』(2018)では、1930年代・40年代のリマリッジ・コメディ(再婚をテーマにしたコメディ)を参考にしましたが、本作では初めてホラーに挑戦し、自分の美学を盛り込んでみました。奇妙なユーモア、倒錯、ショック要素、政治的メッセージを融合させました。本作の母親であるアメリアは、若さと美を執拗に追い求めるキャラクターであり、ドリアン・グレイのような神話的ナルシシストの怪物性を描いています。
──どのようなホラー映画から影響、または刺激を受けましたか。
ガブリエル:『シャイニング』は特に影響を受けた作品です。初めて観たのは、家族の故郷でもあるポルトガル北部の森の中の小屋にいた時で、映画監督のダニエル・シュミットと一緒でしたが、人生で最も恐ろしい体験の一つでした。『キャリー』『黒猫』『ブルーベルベット』『アメリカン・サイコ』『リング』『呪怨』、そして最近のアリ・アスター、ロバート・エガース、デヴィッド・ロバート・ミッチェルの作品にもインスピレーションを受けています。
──本作の物語の背景にはヨーロッパの貴族社会も描かれていますが、その理由・意図をお聞かせください。
ガブリエル:本作の物語を形作るにあたって、第18代アルバ公爵夫人のような人物を思い浮かべていました。彼女は、画家ゴヤによって描かれた第13代アルバ侯爵夫人の肖像画を居間に飾り、美容整形を繰り返し、派手なパーティー好きとして知られていた。本作では「豪奢な暮らしを享受しながら、美の追求に執着する貴族女性」であるアメリアの着想元の一つとして、キャラクター造形に盛り込まれています。
──自身初のホラー映画の演出では、どのような苦労がありましたか。
ガブリエル:恐怖とユーモアのバランスを取るのが最も困難でした。私自身、ユーモアを愛していて、俳優が笑いを誘う演技をすると非常に面白がってしまうため、それを抑えるのがむしろ課題でした。本作の核心となるのは、アメリアとその子供たちの「肉親との性的関係」という生々しい不快感であり、それが映画の感情的な核となっています。
THEATER
《関東地域》
【東京】
2025年10月25日(金)〜公開 シアター・イメージフォーラム
《北海道地域》
-
《東北地域》
-
《甲信越地域》
-
《京阪神地域》
-
《東海地域》
-
《北陸地域》
-
《山陰地域》
-
《中国地域》
-
《九州・沖縄地域》
-
